創刊の言葉

『アジア・アフリカ地域研究』 創刊の言葉

アジア・アフリカ地域研究

21世紀という新しい時代を迎えたいま、世界は情報や経済のグローバリゼーションの波に洗われています。その結果として、地球的規模での環境問題の拡大、南北問題の激化、食糧・人口問題や資源・エネルギー問題の深刻化など、人類が総力をあげて解決に当たらなければならない多くの課題がたちあらわれています。また、冷戦構造の崩壊によって、各地で新たな民族主義、地域主義が台頭し、局地的な民族紛争や、近代化と伝統文化との矛盾が激化しています。世界はいまだ、自然と開発、あるいはローカルとグローバルを、どのように共存させることができるのか、そのためのパラダイムを見いだせないでいます。

このような問題は、第三世界、とりわけアジア・アフリカ地域において顕著に見られます。アジア・アフリカの多くの地域は低緯度熱帯域に位置し、ラテン・アメリカのような人口や文化のメスティソ化を経験することなく自生的な地域形成を遂げてきた歴史をもっていますが、いま、急速なグローバリゼーションの波の中で、大きな転換点にさしかかっています。この意味で、アジア・アフリカが、地域と世界、伝統と近代化の共存のパラダイムを見いだしうるかどうかは、21世紀の世界のあり方を左右するといってもよいでしょう。

こうした状況の中で、地球社会の構成員としての役割を果たし、真に持続可能な発展を探求し、アジア・アフリカを含む諸地域の自立と世界の共存を可能にする新たな世界秩序の構築が、現代社会における最も重要な課題であります。そして、それに向けた社会的・学術的貢献こそが、アジア・アフリカ地域研究に課せられた最大の使命であると考えます。

この度創刊しました学術誌『アジア・アフリカ地域研究』は、上のような問題意識のもと、アジア・アフリカ地域研究に寄与する論考やエッセイを広く求めて掲載し、 21世紀にふさわしい新たな共存のパラダイム創出に貢献することを目指します。関係各位には、本誌の充実・発展に、あらゆる角度からのご協力を賜りたく、心よりお願い申し上げる次第です。

田中 二郎

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